ルユハヴ?〜なんとかならない人生〜

先輩は煙草を飲みながら僕に言った。 『何とかならない事なんて、いままでにあったか?』 いや先輩!僕今無職になってますけど?!

【読書メモ】笑いのカイブツ 読了

 

笑いのカイブツ ツチヤ タカユキ著
全231ページ、2時間5分で読了。

 

狂ってる人、孤独だけれど、
まっすぐでブッチぎってる人物の物語だと思った。

自分がまた重なる。
苦しみの中でもがき続けて、
それでも歩みを止めない彼の人生に、底知れぬ力強さを感じた。

序盤で母子家庭の文字にズキっと来た。
夢を追って、親に心配を掛けた経験のある自分としてはあまり母さんを悩ませないで、と思ってしまう。

実名の報道のくだりには、ぞわわと来た。

そして、ハルカスに行ったことのある自分としては、大阪という自分の過ごした事のある舞台にまた共感。

ピンク髪との友情に、
故郷に残してきた友人の姿が重なり切なくも懐かしさを覚えた。

人間として終わってるくせに、
その心理描写の騒がしさが鮮烈で刺してくる。
読むのが止まらないし、どこかこの不器用さが格好良くすら見えてしまう。


こんな彼に浮いた話が出てくることに違和感を覚えたけれど、大阪の街で、終わりのある恋愛をしている2人の姿が儚くて、そして美しくて胸が辛くなった。

途中から、
どうしてこの人が、こんなにもお笑いに狂ってるのかが不思議になってくる。
それだけ、人生全てをかけて
命を賭けて愚直にお笑いだけを続けているのに、神様は彼に微笑まない。
ただしい手順に従わず、チェックシートにカラスを飛ばさない人が成功できるほど、世の中の仕組みは甘くないのか。

プロップスって?

母子家庭で育ったぼくが、これを読んだら駄目だ。
最後の章が、
3か月半のニート生活をさせてくれた母との日々と重なって、泣けてしまった。
母へ感謝出来る人の純粋な心に、共感を覚えてしまった。

彼の中に、漫画家になりたい夢を持っていた自分が重なった。
いつも街を歩く時、頭の中の登場人物の生活や冒険を考えていた。
その空想が楽しみで、生き甲斐で、有意義な知的生産だと思っていた。

しかし、ぼくはその道の先にある絶望を嗅ぎ取って、歩みを止めてしまった。
そこを突き抜けて生きた彼は、素晴らしくて。
格好良くて。
彼が書き上げたこの物語には
確かに諦めた夢の中のぼくがいた。
彼の知性がこもった、素晴らしい文章だった。
ありがとう。


描写を読んで思ったけれども、無から有を生み出す想像力が凄い。
自ら創作をやったことのある人で、プロの軌跡を読みたいのならばオススメしたい本である。

 

 

笑いのカイブツ

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